2011/10/27
日経新聞電子版「日本の若者はなぜ立ち上がらないのか」にコメントいたしました
メンバーの城が、日経新聞電子版(2010.10.26)
「日本の若者はなぜ立ち上がらないのか 内田樹×城繁幸×原田泰×山田昌弘」
にコメントいたしました。コメント趣旨は以下になります(抜粋)。
・標的の不在
若者がデモに参加しない理由で一番大きいのは、日本では明確なターゲットがないということ。
一連のデモは「ウォール街的なもの」を敵視しているが、日本では「強欲な資本家」が見当たらない。
例えば東京電力の経営陣をつかまえても、欧米のように莫大な報酬をもらっているわけではない。
ただのサラリーマンにすぎない。どこに向かって拳を上げたらいいのか、実にわかりにくい構造に
なっている。行き場がなくなったもやもやは、形を変えてナショナリズムにつながっている。
若者の側に、それほどの危機意識がないというのも背景としてあるだろう。日本では欧米ほどの
激しい経済格差はまだない。これは語学の障壁が大きく影響している。欧米では低賃金の労働が
外国人に次々と取って代わられている。しかし日本では、日本語が話せることが保護壁となって
低賃金の外国人労働者の流入を阻み、若者を失業から守っている。
これが逆に若者から危機意識を奪っている。
・それでも30年前よりは豊かに
デフレの進行によって、生活費は抑えられている。300円の牛丼を食べてケータイいじってゲームを
している方が心地よい――という現状がある限り、大多数の若者はデモには向かわないだろう。
欧米のデモの中にはグローバル化をターゲットに掲げる動きもあるが、日本の若者はグローバル化の
恩恵を受けている。1980年代の20、30代よりも、今の20、30代の方が物質的には豊かな生活を
送っている。年収はおそらく3割程度減っているだろうが、80年代は牛丼は高く、部屋にはエアコンも
パソコンもない。もちろん携帯電話もない。基礎的な生活水準は格段に上がっているのだ。この差が
若者気質に与える影響は大きいのではないか。
・年功序列は維持できない
ただ、若者の間では、日本的な生き方を良しとする層とそれに不満を持つ層とに二極化しつつある。
年功序列制度に守られた日本社会に対して安心感を抱き、積極的にそこに加わる層。一方でそこから
抜け出し、能力に応じた対価を求める層。全体としてはまだまだ年功序列が多いものの、制度的には
行き詰まっており、早晩崩れていくだろう。年功序列制度は文化として日本に深く根付いているが、
グローバル化の前ではいつまでも維持することは困難だ。
