2011/10/05

みんなの党はいつから国民新党と同じスタンスになったの?

城繁幸

復興費用や社会保障制度改革に絡めて、税制に関する議論が盛り上がっています。
注目すべきは、自民、民主共に、主流派は消費税の引き上げを容認していること
でしょう。これは、引退した団塊世代をはじめとする高齢者が、社会保障制度の
維持のために増税派に転向しつつあるためだと思われます。

社会保障給付のように毎年発生する支出を赤字国債という形で先送りされるのが
我々にとっては最悪の選択なので、とりあえず増税するという流れは、ひとまず
歓迎すべきでしょう。

小さな政府を主張するのであれば、その増税幅をめぐる議論の中で、社会保障費
のカットを打ち出していけばいいわけです。

ところで、ここにきて急に迷走を始めた政党があります。
「構造改革の後継者」と自負していたみんなの党です。
以下、同党のここ一カ月程の主張を並べてみましょう。

・増税の前に、厚生年金等の未納分を徴収せよ
参考url: http://jyoshige.livedoor.biz/archives/3837331.html

年金保険料を税金の代わりしろという時点で暴論ですが、なによりも破綻確実
な年金制度にメスを入れることなく、厚生年金に加入する余力の無い中小・零細
企業の労働者からの徴収を強化しろという主張には、強い疑問を感じます。
その保険料は彼ら自身の老後ではなく、今の高齢者に支払われるだけです。

・財政危機幻想論、増税より外貨準備を活用せよ
参考url1: http://news.livedoor.com/article/detail/5716944/
参考url2: http://news.livedoor.com/article/detail/5750503/

多くの財政学者が指摘しているように、日本国の資産は換金できない道路や橋等
が半分以上を占めており、むしろ実際の資産額はずっと低いものだと言われて
います。さらには、負債として計上されていない「社会保障の暗黙の債務」
(これから若い世代と将来世代が負担する債務)が一千兆円以上存在しており、
純資産で見れば余裕があるどころか企業ならとっくに倒産している状態です。

外貨準備にしても、政府が借金した上で買い集めた資産であり、これを売却
するのなら、まずは借金を返すべきでしょう。
(しかも、現在は円高により実質的な債務超過状態だと思われます)
それをせずに別の用途に流用するなら、ただの新規の国債発行と同じことです。

要するに、みんなの党というのは、小さな政府だの構造改革だの言いつつ、
国民新党や昔の自民党と言ってることがまったく同じというわけです。
整理しておくと、
「毎年一兆円増え続ける高齢者向けの社会保障費をどうまかなうのか」
というのが日本の最重要課題であり、その解決の中で初めて世代間格差の是正が
取り組まれる余地があります。

そして、アプローチは、増税か社会保障カットの2択しかありえません。
先ごろ出された経済学者の連名による「震災復興にむけての3原則」も、
この流れに沿ったものです。
参考url: http://www.youthpolicy.jp/archives/379.html

みんなの党については、比較的柔軟な労働政策をとっていること、若手の議員
が多いこと等から、我々も一定の評価を与えてきた経緯があります。
ただ、公務員改革には熱心なものの、社会保障や財政といった、世代間格差が
からむ問題にはいま一つ熱意が感じられず、それがゆえに我々としてもプッシュ
しきれないもどかしさを感じていました。

ここ数カ月の同党の迷走ぶりを見ていると、もどかしさから諦めの境地に
達しつつある気がします。
やはり次世代の正当な要求を通すためには、政界再編により、自民、民主、
みんなの党といった政党間での再編が必要なのかもしれません。

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