2011/04/27

メディアは若者が嫌いなのか

皆さん、こんにちは。若者マニフェスト策定委員会です。
今回は、ある質問に対して、メンバーからいろいろな意見が出てきたので、
あえて集約せずに、それをまとめて配信したいと思います。
我々ワカマニのメンバーの中には、普段からメディアとお付き合いしている人間や
メディアの中で働く人間もおり、各自が今のメディアに大して様々な思いを
抱いています。けして「こうすれば若者向けメディアになるぞ」的な処方箋では
ないのですが、それぞれの考えを感じていただければ幸いです。

【寄せられた質問】
私はメディアに関しても世代間格差があるのではないかと感じています。
テレビや新聞等は若者を「ゆとり」だの「安定志向」だの批判してばかりで、打開策
を何も言いません。一方、借金を後世に残して若者世代に全てのつけを払わせよう
とする年寄の批判はメディアでは全く行われておりません。
個人的には保身に走り雇用体系も変えず社会保障ばかりに気にする政治家や
年配社員の方がよほど「ゆとり」で「安定志向」だと思うのですが…

このような壮年世代を批判するメディアが出てくると嬉しいのですが、記事や報道を
作る人が自分自身を批判することは出来ないので、難しいと思います。
なんとかして若者の声を広げるメディアが出てきて欲しいと思っています。
何か手立てはないのでしょうか。

【我々の考え1:大手紙勤務記者(29歳)】
「メディアに世代間格差」があるという指摘はまさにその通りだと思います。
どうしても、既存のメディアは若者の意見よりも中高年の意見が尊重されるきらいが
あります。「もっと社会保障を」という主張は至る所にみられます。
一つの要因として、メディアにとって中高年は上客だというのがあります。
新聞協会の調査を見れば一目瞭然ですが(『全国メディア接触・評価調査』)、
年齢が高ければ高いほど、時間をかけて新聞を読み、テレビを見てくれます。
読者が求める情報を提供するのがメディアの生業である以上、中高年に照準を
合わせた論調に偏りがちという指摘は当たっているとおもいます。
(参考: http://pressnet.or.jp/adarc/data/rep/index.html

一方で、すべてがそういう報道かというと、それはちょっとちがうと思います。

たとえば昨年末の各紙の社説を読んでいただければわかると思いますが、朝日新聞は
「高齢化は今後も続き、社会保障予算は毎年1兆円超のペースで増える。(中略)
増税カードを加えなければ、財政再建の解がないのは明らかだ」(12月25日)と書き
読売新聞も「菅内閣は来年こそ、消費税率の引き上げを決断すべきだ。政権公約の
誤りも正直に認め、大胆に見直す必要がある」(同日)と書いています。
増税し財政再建を進めることで後世にツケを残さないようにすべきだということは、
一応書いています。
昨年秋からNHK首都圏は「ミドルエイジクライシス」シリーズで30歳代の生活や雇用、
貧困や格差の問題を取り上げています。あと、世代会計をしつこく取り上げる新聞社もあります。

読者が求める情報を提供するのはメディアの生業ですが、それは使命ではない。
世代間問題を社会に問うのはメディアの重要な使命です。なので、既存のメディアが
流す情報は様々な先入観や偏向が含まれているのは事実ですが、それを是正する動き
もないわけではないというのは理解してほしいと思っています。
てゆっか、それをわかっていただけないと世代間格差をちょくちょく記事にしようとしている
僕なんか非常に切ない気持ちになるんですけれどね。

まーそれでも、昨今の報道に普通に触れているだけでは、全体として「老人向けだな」
という感想を持つのは仕方のないことかもしれません。
ただ、ネットの生放送も様々な新書も立派なマスメディアなので、それを通じて若者の考えが
伝わり、世論はほんとうに、少しずつ変わってきているのではないかとも思います。
既存のメディアだけでなく、新しい媒体が質の高い「若者の声を広げるメディア」になって
いけばいいと思います(ここでは“質の高い”というのが非常に重要なポイントなのですが)。
若者の立場を代弁する強力なメディアがもっと出てきてほしいとも思います。

最近僕が思っていることなんですけれど、メディアは世論と「共犯関係」にあると思って
います。世論はメディアによって醸成される一方、メディアも世論を超えることができない。
これだけ老人が増えるなかで世論も耐え難い加齢臭が漂っており、それにメディアが
巻き込まれるのは当然でもあります。
若者がもっと新聞を読むようになれば少しは流れが変わるかもしれないと思う一方、
今の若者は新聞なんてつまらないから読まないよなあ・・・とも感じています。
学生運動時代、インテリ学生はみんな「朝日ジャーナル」を小脇に抱えていたから、
大昔の朝日ジャーナルはガリガリにリベラルでいけたのかなあ。

【我々の考え2:城繁幸】

日本のメディアとお付き合いしていて常に感じているのは、流動性が極端に低いため、
普通の民間企業以上にサラリーマン的であるという点です。
テレビや大手全国紙などは、皆さんご存じのように非常に好待遇で安定し、文字通りの
終身雇用・年功序列が維持されてきました。その結果、弊害もそこらの会社などより強い
のだと思われます。一方、アメリカのように記者まで流動化した社会だと、彼らは“愛社精神”
の代わりに、共通のモノサシとして“ジャーナリズム”を発達させているわけです。
もちろん、日本のメディアもジャーナリズムは掲げていますが、各社ごとの社風や愛社精神
が交じっていて、あまり統一感はありませんね。ジャーナリズムもガラパゴス化していると
感じています。

そんな中で、年功序列組織である彼らメディアに、世代間格差問題のウケがいまいちなのは
事実だと思います。実際、収録時の発言がオンエア時にカットされたことは1度や2度では
ありません。彼らが反・ワカマニ的フィルターを持っているのは、厳然たる事実だと思います。
ただ一方で、メディアの日本型雇用が急速に崩壊しつつあります。結果、ムラ社会の掟が
緩むことで、多くの日本企業同様、若手~中堅の中に独自の動きが出始めています。
ポストに就くのはベテランでも、実際に取材をしたり記事を書いているのは若手なわけで、
彼らなりの非・年功序列的価値観がメディアに出てきているなあというのは、年々強く感じて
いますね。

まあ、我々がなんだかんだ言いつつもメディアに取り上げてもらっているのは、各社の下の方に
理解者が増えているということの裏返しでしょう。
僕の予想ですが、今後、大手メディアの昭和的価値観は、日本型雇用の崩壊により加速度的
に薄れていくと思います。いつも言っているように、長期雇用のメリット無くして、若手は誰も
組織には服従しませんから。

というわけで、メディアの中でも、2、30代と45歳以上の確執が繰り広げられているという観点で
眺めれば、意外な発見があるかもしれませんね。

【我々の考え3:間中健介】
メディアが上記のような課題を抱えているのは事実ですが、やはり国民の側がマスメディアに
過度に依存している事実もあります。日々、新聞やテレビを批判しつつも、私たちは新聞や
テレビの報道を生活のなかで活用しています。
マスメディアにも意思があるので、それがときとして「世論とずれる」こともありますが、それを
過度に批判するよりも、受け手である国民の側が情報リテラシーを持ち、健全で冷静な判断を
常にしてくことが求められるのではないか……そうすることでマスメディアも変わっていくのでは
ないか……と考えます。

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