2011/02/14

地方議会と自治組織の世代間格差の現状

高橋亮平

エピソード

私は、地方選挙に出馬を検討していますが、地方選挙で重要視
される自治組織の支持が若者ではとりつけにくい状態です。
また自治組織の支持を受けた候補者は組織の要職であるケースが
多く、この場合、自治組織の年功序列の組織体系からして、年配者が
多く見られます。若者が地方議会に意見を届けるには自ら基盤を
なしにして活動しなくてはならず、まとまった自治体の組織票と
いう仕組みが被選挙権の世代間格差を生み、厳しい政治活動を
強いられています。

説明

日本には一番身近な組織として地域住民による自治組織があります。
主に、中高年が中心となり、近隣住民の自治活動を主導しています。
このような旧来からある組織は、比較的年配者がその長や役員を受け持つ
ケースが多々あり、定年後に時間が空き、自治体活動に専念をして
いる場合や、また顕著にみられる例としては地元の地主と言われる
ような世帯、もしくは個人がその組織の主導権を事実上掌握している
こともあります。

また、この自治組織に強制加入権は無いのにも関わらず、組織に
半ば強制的に加入させる行為も多々見られ、それに抵抗し、
若者の世帯の加入拒否の例も増えてきています。

このような組織体として衰退の道を歩んでいる自治組織は、日本に
おける典型的な年功序列の体系をとっています。具体的には、例え
若者が自治組織に加入したとしても、役員という役職の有無にかかわらず
雑用としての扱いが多く、高齢になるほど、自治組織のお金を利用して、
反省会などという名目のもと所謂「飲み会」を行うことが慣例となって
いるケースも少なくありません。このような構図は年功序列を嫌う
若者の自治活動への参加の妨げになっています。

そして、自治組織の上に、市区町村という地方自治体があり、行政

活動を行っています。一般的には、民主主義のもと公平な選挙によって
地方自治体の議員が選出されますが、この自治組織の推薦を受ける、
もしくはこの自治組織の強力な主導者が選挙に出馬し、その地域の
住民がその候補者に投票を行い、当選し、その自治組織の名誉職として
扱われるケースが多くみられ、その場合、政治活動の主たる行為が
見られず、専ら自らの権威を象徴するばかりか、自らが自営業を行って
いる場合には、その自営業が主たる活動範囲となり、議会軽視の行動が
目につきます。

また、このような自治組織推薦などの候補者はその地位をその組織内で
同世代間承継することもあり、なかなか若者が組織の推薦を受けられる
ようにはなりません。仮に若者が組織の推薦を受けたとしても、二世議員
など親族間で地盤継承されます。

若者の地方議員が増えてきていますが、このような構図を払拭しない
限り、地元の自治組織の支援だけで何期も議員活動を行う、いわゆる
名誉職議員が議会を牛耳り、自らの名誉のためだけに活動する日本の
地方議会の世代交代や組織改革を行うことができません。

最近、日本では、道州制の導入や地方分権という言葉が広く聞かれる
ようになりましたが、底辺の地方議会の体質自体を変えていかない限り
地方分権をした意味がなくなり、最悪の場合、財源が地方に移譲された
のち、地元の私利私欲のために消費されるという事態も想定されます。

若者はやる気があるが、自治体組織の中では地位が低いことが多く、
なかなか自治体の支持を得られません。また、組織に未加入で自ら出馬
を決意したとしても、若者の選挙への関心も低く、同世代へのアプローチ
も難しくなっています。最近ではインターネットを使った政治活動が
行われるようになりましたが、国政ほどのメリットは地方選挙には無く、
限定的な広報活動にしかなりません。
ここで定義する地方議会と自治組織の世代間格差とは、自治組織未加入
世帯の増加に示されるような地域住民の関わり方が時代とともに変化を
起こしてきているものの、その変化が更に自治組織の中での世代間交流を
妨げ、地方選挙においては更にその例が顕著に表れ、平等な被選挙権が
世代間で不公平になっているこということです。
すなわち、このような自治組織主導の地方選挙が行われれば、議会に占める
世代ごとの議員の割合が、若者よりも中高年者のほうが多くなり、議会に
おいて若者の意見が反映できず、結果行政も中高年者世代を優遇するよう
な政策をとり、若者が行政の恩恵を受けることが少なくなってしまうと
いうことです。何故なら自治組織選出の名誉議員は所属する自治体に
メリットがある政策には自らの権威を象徴するかのように賛成するので、
その組織が高齢化していれば、高齢者優遇の政策が優先されてしまう
からです。

これによって同じ住民税という税金を納付している若者は、その金額に
見合った政策の恩恵を受けることが減り、その一方で高齢者を優遇する
という決定的な世代間格差を生む象徴となっています。

この自治組織と地方議員との関係が、地方行政に世代間格差を生み、また
地方選挙においても、世代間で獲得できる組織票の格差を生み、その根源
が日本において一番身近な組織体のもつ年功序列にあるので、その循環が
永遠と繰り返されているのです。これは反面、若者も年をとれば、また
その時の若者から恩恵を受けるという好循環の見方もできますが、
果たしていつまで若者に対し、負担を強らなければならないのかを検討する
必要があるといえます。

このような年功序列を排除した新しいコミュニティとしての自治体が生まれ

世代間の交流が深まれば、格差是正に向かいます。昨今ではギャルママ
サークルなど同世代間でその世代間格差を埋めるような自治活動も見られ
ますが、これは日本に根強い年功序列が生んだ新しいコミュニティで、
格差を埋めようとはするが是正するまでには至ってはいません。
※本コラムは先月分のメルマガのバックナンバーとなっております。
こちらで会員登録いただければ、最新のものがお読みになれます。

カテゴリー: コラム

タグ 

コメントは受け付けていません。


Go Top